皮肉と剣と、そして俺
それがナオトには許せなくて、血が滲み出てきそうな程、唇を噛みしめ憤怒を心の中だけに留める。
「…俺は足手まといってことか?」
「そうだ」
ナオトが静かに問えば、エイダからは冷たい答え。
「俺を連れて行く気は全く無いと?」
「そうだ。分かりきった事を訊くな」
やっと書類から視線を上げたと思ったら、エイダはナオトを見て溜め息をついた。
完全にナオトを嘗めている。
「…へぇ。俺ってそんなに要らない奴だったんだ?
あんた、俺をずっとそんな風に見てたんだ」
「だったら何だ」
あくまで無表情を崩さないエイダに更に怒りが強くなる。
仲間だと思っていたのは、俺だけだったんだな…。
自分が情けなくなってエイダに怒る気も起こらない。
一刻も早く、今はここから立ち去りたかった。