【気まぐれ短編】真夏の夜のサンタ。

「トナカイじゃないんですね」


私はシートベルトをしながら笑いかけた。


『今時のサンタは皆車だよ？』

ｹﾗｹﾗと笑いながらエンジンをかけ車がゆっくりと走り出した。


行き先を告げその後はくだらない話をしながら車は私のマンションの前に到着した。


「あの…本当にありがとうございました。改めてお礼がしたいので連絡先教えて貰えませんか？」


『お礼なんていいよ。でも赤外線しとこっか？』

「お願いしますっ!!」

私は慌てて携帯電話を出し赤外線通信をした。


私の携帯電話に彼のTEL番号とﾒｰﾙｱﾄﾞﾚｽが入っているのを確認してシートベルトを外し車を降りる。


「ありがとうございました…改めて連絡します」

私は深々と頭を下げた。


『どういたしまして。じゃあ、またね舞ちゃん』


軽く手を振って車は走り出した。