=凪=
その勢いに押され、二人は手をしっかり握った。


そして少年は、一気に少女を引き揚げた。


「せーーの!!!」


思いもよらない力が入り、二人は地面に投げ出されていた。



少年は尻餅を、少女は手と膝をついて息を切らした。


「「た、助かったぁ〜」」


小さな私は、ヒロ少年の方を見た。



少年も、小さな私を見た。



二人は、急に可笑しくなって笑った。


「遅くなっちゃったね」


「あぁ、母ちゃんに怒られるな」


二人は、汚れた服もそのままに、池を後にした。



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