=凪=
「お前、すごい顔だぞ」

そう言われて、少女は改めて少年の顔を見た。


「ヒロ君だって!」


歩きながら、二人は道路脇の確認ミラーを覗き込んだ。


ヒロ少年は、鼻の下とおでこに、ちいさな私は、頬っぺたに泥が付いている。


「俺達、なんかすごいことしたあとみたいだな」


「うん、冒険だよ」


笑いながら歩いていると、前方に二つの影が見える。


「あなた達は今まで何してたの??」


仁王立ちの女性が言う。


「心配していたのよ」


掌を胸の前で組み、おろおろとしている女性が言う。



二人の顔は、みるみる輝く。


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