=凪=
ブォーーン


部屋でボーッと待っている私の耳に、騒音が聞こえて来た。


その音は段々と大きくなり、アパートの前で音が静かになった。



2階にある部屋から下を覗くと、バイクが1台、停まっている。


「よっ♪」


シールドを上げたヘルメットから、聞き慣れた声が聞こえる。


「待たせたな。こいつのご機嫌をとっててさ」


そういいながら、ヘルメットを取った、柳崎先輩の笑顔があった。

私は部屋を出て、急いで駆け寄った。


「どうしたんですか?これ…」


びっくり顔の私に、先輩は、買ったんだよと自慢げにバイクのシートを軽く叩いた。



< 130 / 265 >

この作品をシェア

pagetop