=凪=
信号で止まるたび、おしりがカクンと前に滑る。



「大丈夫か?」


シードルを上げ、振り返りそう聞く先輩。


「あっ、はい!!」


私は、先輩の横顔にドキリとしながら、おしりを戻しつつ、そう答えた。


《かっこい………》


『なに?なに?


私なんてことを思ってるの?


相手は先輩だよ。天敵なんだよ』


もう一人の私が、顔を出す。


《素直になれば?あのチョコって実は……》


『違うよ。あれは……あれは……』



そんな心の葛藤のさなか、バイクはコンビニの駐車場に停まった。


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