=凪=
『そう、あれは………』



菜津子は、天井を見上げ、目を細めた。



『あれはまだ、蓮のことを、お兄ちゃんと呼んでいた時のこと………』



天井から、視線を移し、写真を見直して、蓮をそっと指でなでた。


「そう、お兄ちゃん……なんだよね」



「全然、変わらない、優しい笑顔。ずっと、私の側にある優しい声……」



そして、改めて幼いころの記憶を蘇らせていった。




小さい、菜津子……



その傍らには、はにかんだ笑顔の、小さい蓮……



二人は、幼なじみなのだ。



そして、同じ頃……


その幼なじみは、と言うと……



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