=凪=
「蓮、なっちゃんの面倒を、しっかりみてね」


蓮の母親が声をかけ、菜津子の父親が続ける。



「蓮君、わるいな。家のわがままお姫様を、よろしく頼むよ」



菜津子より二つ上の蓮は、親たちに言われて、はい!と元気に返事をした。



「なっちゃん、あっちにいこう!」


「うん!!」



二人は、春の香りいっぱいの土手で、かけっこをしていた。



「れーん!川の方には行くなよ〜。気をつけてな!!」


蓮の父親の叫ぶ声が、聞こえた。



「わかってるって!」


そう答えながら、大人の目を離れた二人は、自然のなかで自由を楽しんだ。



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