=凪=
……記憶の世界から、場面は飲み屋になった。



「へ〜、昔っから菜津子は、おとぼけなんだな」



話しの途中で、陸がしみじみと、頷いた。



「そうなんだよ。なっちゃんは、しっかりしてそうに見えて結構、天然なんだよな……」


蓮は、昔の呼び名で菜津子を呼んでみた。



遠くで鳴っていた小さな雷鳴が、少しづつ大きくなってきている。


「雷が鳴ってるな…」


蓮の動きが止まる。


『あの日と、同じだな』



「んで?ほのぼのな二人は、どうなったんだよ」


陸の言葉にああ。と言いながら、蓮は話しを続けた。



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