=凪=
さっきまで、お日様の光が、気持ちよかったのに、だんだんと風が変わる。



生暖かい風が吹いてきて、黒い雲が広がってきた。



さっきまで、小さかった落雷音が、次第に大きくなって来た。



そして、ついに空一面に、稲光が走った。



「お兄ちゃん、怖い」


「大丈夫だよ。なっちゃん。大丈夫だから」


蓮は菜津子の不安を軽くしようと、笑顔を見せた。



家族がいる場所は、少し遠かった。



泣きそうな菜津子の背中を必死に支えようと、肩を抱いた。



ポツリ、ポツリと降り出した雨の中、身を隠せる出来る場所を探した。



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