=凪=
−−そして、陸の部屋の菜津子は……



『あの時の蓮ってかっこよかったなぁ』



菜津子は、幼い蓮の横顔を思い出しながら、ちょっぴり照れていた。



#ゴロゴロ〜♭


不意に響く落雷の音に、ふと窓の外に目を向けた。



昼間はあんなにいい天気だったのに、いつの間にか、大きな雨粒が窓を叩いていた。



「あの日と同じだ……」


ポツリつぶやいた。



そして、窓の側に行き、外をジッと見つめた。



「あっ、陸ってば、傘持っていってないよね」


そう思い出した菜津子は、急いで携帯を開いた。



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