=凪=
何かに、とりつかれたように急いで仕度をして、家を出た。


駅に着くと、すでに車は停まっていた。


軽く会釈をして、私は躊躇い気味に、助手席に乗り込んだ。


そして、趣味の合わないBGMに、うんざりしながらドライブに付き合ったのだ。


そんななか、溜め息混じりに隣を見ると、真剣にハンドルを握る横顔があった。


いつもなら、なにかとからかってきては、私を困らせていた。


でも、その日の先輩は、別人に見えたのは気のせいではなかった。

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