=凪=
菜津子には、隠し事が出来ない。



そんな思いが、いつまでも、キーの同じ文字を探させていた。



『私……このままでいいのかな?』



カタカタカタカタ………


溜め息が出る。


気がつくと、パソコン画面にメールが届いていた。


クルミからだ。


【今夜、時間ある?】

短い文を読み終え、クルミのディスクを見ると、笑顔とブイサインが見えた。



『今夜も、あの話しかな?』



最近、笑顔とブイサインを、柳崎サインと呼んでいる。


それがあった夜には、柳崎先輩の、大学時代の話しを聞かせてくれの合図だった。



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