=凪=
「泣いちゃいな!」



寝ていたはずの菜津子が、突然、起き上がりそう言った。



「辛いなら、泣いちゃいなさい……」



「クルミはいつも、そうなんだよ。そうやって溜め込むんだよ」



そう言うと、菜津子はクルミの頭を自分の胸に抱き寄せ、よしよし……と髪を撫でた。



菜津子の温かさに、クルミは泣き崩れた。



陸も菜津子も、黙って、クルミの気持ちを受け止めた。



段々と落ち着いてきたクルミは、今ある気持ちを菜津子に言った。


「私ね、諦めないの……」



「うん‥‥」



菜津子が答える。



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