=凪=
「出来るよ……チューバだけど」



「「……えっ、その細さで?」」



私と菜津子の声がシンクロした。



「中ボーの頃の話しだよ……」



そう、クルミは足を組み直し、二人に背を向けた。



「じゃ、歌はカラオケね」



「待ってよぉ。私が音痴だって知ってるよねぇ」



弾む声の菜津子を、懸命に制した。



「ナギ、もう諦めなって。私も頼まれてるし、二人で立ってもいいんでしょ?そうすれば怖くないよ」



クルミは、その場を収めようとそう言った。


それなら……と小さく返事をしたのを菜津子は聞き逃さなかった。



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