=凪=
そう言ったクルミが、言葉を続ける。



「やっぱり……好きなんでしょ?」



思わず、眼球がこれでもか!と言うほどに開いて、クルミを見据えていた。



「ふっ、図星、か……好きな人の事になるとね、女は勘が鋭くなるものなんだよ…」



クルミの言葉に何も言えずに、目に熱い何かが込み上げて来ているのがわかった。



「思うに、二人は確実に相思相愛っうとこだね」


『そ、そんなことない……』



下唇を噛む力が強くなる。



「実際に私の入るすき間はないよね」


伏せ目がちにお酒を醒ます烏龍茶の入ったコップの氷をカランと鳴らした。


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