=凪=
私達の会話が途切れた頃、司会の声が響いた。


そしてウエディング・ソングが流れ、ドアが開いた。



開いたドアの光りの先には、真っ白いドレスと、長いヴールに包まれた菜津子が立っていた。



「「きれー……」」



彼女は、本当に美しいかった。



手には生花を持ち、最愛の男性の元へ……



ゆっくりとヴージン・ロードを、父親にリードされながら歩く。



一歩づつ、ゆっくりと私達の横を通り過ぎる。



『家の父さんじゃ、緊張して転びそう……』


それをみて、ひそかに家族を思い出して、そんな事を思った。



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