=凪=
陸さんの出迎えに、照れているのが背中越しにわかる。



そして神父さんのテノールが響く。



「汝、…………」



「……はい」



それに、ソプラノの美しい声で答える。



そこに、私をパシパシと殴る姿は、どこにもなかった。



指輪の交換、誓いのクチズケでは、クルミと手を取り合って涙した。



本当に清らかなものを見ると、身体中から【何か】が抜けていくものだと感じた。



とても素敵な式だと思った。



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