=凪=
「ねぇ、誰なの?もしかして、彼でも出来たの?」


少し、怒ったように聞くと、ようやく私の声に菜津子が反応した。

「あれっ?ナギにはまだ言ってなかったっけ?」


『あーぁ、何があったか知らないけど、親友ってったってそんなもん?男にはやっぱり敵わないんだ』


「聞いてないぞ……」

呆れている私に、ごめんと取り繕う姿にも、そわそわ感が隠せない。


ぽつぽつと集まる男性群に、思い立ったように駆け寄り、何か懸命に聞きはじめた。


「……答えは?」


ポツリと呟いたが、それは言葉が、街灯の朱に掻き消されていった。



< 29 / 265 >

この作品をシェア

pagetop