=凪=
いつも行く飲み屋と違い、個室のあるちょっとお洒落な居酒屋だ。

「はぁ〜〜ぁ」


よくもまぁ、こんな場所を見つけられるものだと、辺りを見回しながら息が漏れた。



「あのぉー」


関心している私の耳に少し低い声が聞こえ、びっくと振り向いた。

「あー、ごめん。突然びっくりしたよね?僕、蓮。尾沼 蓮(オヌマレン)。よろしく」


声の主は、人なつっこい笑顔で、右手を差し出す。


私はどうしていいのか解らずに、差し出された手を見詰めていた。

「参ったなぁ………みんな、メニュー見て決めてるよ。君は何、飲む?」
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