=凪=
「ナギ?楽しんでる?なんだか顔色が悪いよ…」



下を向く私に、そう声をかけてきたのは、同僚のクルミだった。



彼女は、何かと気にかけてくれる優しい娘だ。


店に入る時に、声をかけてくれたのが彼女だ。


「うん、ちょっとおトイレ」


一人で平気かと聞く声に、まるで逃げるように扉に向かった。



ガラガラ……


突然、勝手に開いた扉驚き、動きが止まる。

『何?お酒、呑んでないのに私って酔っ払い???』



「わりぃ、遅くなった」


すると、固まる私の目の前に、そう言いながら男が、一人入ってきた。



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