=凪=
「いえ………」


「いえ、あの日、先輩と一緒に過ごせてよかったです」


私は、前を向き直り、そう言った。


「誰かとの接点って大切ですよね。私、一人で生きていけるって思ってた時に、先輩から声がかかったんです」


「………」


私を見つめる、視線が優しい。


「今は、誰かとの出会いを大切にしています。今日も頑張って、接点を探しに来ました」


ドギマギする気持ちを抑え、一気に話すとまだまだ出来てませんけどと、言い足した。


「そっかぁ、俺……」

「……?」


それまで、黙って聞いていた先輩が、話し始める。


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