=凪=
「俺、少しは、名取の役に立ったんかな?」


「先輩?」


とても穏やかに話す先輩に、再会までの月日を感じた。


「俺さ、名取を見ていて、他人のような気がしなかったんだよ。俺も、誰かと一緒にいることを、苦手としてるからな」



『うそ・・・・いつも明るくて、みんなの輪の中心にいるのに…今だって……』


でも、そう語る先輩の瞳に、嘘は見えない。


「お互いに頑張ろう。な?!」


ポンと、肩に手を置かれた。


私は、その手を退ける事は出来なかった。


そして、私に送られている、熱い視線にも気が付かなかった。


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