=凪=
「あいつ、名取のこと気に入ったらしいぞ」

そういう先輩の後方で、尾沼さんが照れた顔で笑っている。


「大切にしろよ。接点!」


私は、真っ赤になりながら下を向いた。


それを見て、先輩はニコニコといや、ニヤニヤとしている。


『やっぱり天敵だぁ』

照れと、小さな怒りを隠し、私は、駅へと向かった。


『尾沼……蓮さんかぁ』


心で、名前を呼んでみた。


『今度、メールしてみよっかな』



そう、心にちょっとだけ誓って。



そして都会の夜はまだまだ終わらなかった。


第3章『すれ違い』終わり
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