=凪=
「ナギっ!早く行くよ!!」


「はーい」


少し前を行く、親友達に名前を呼ばれ、とりあえず、返事をした。


食事に行くと言われ、渋々、歩いていた私の目に留まった、一枚のポスター。



大きな花火が写るそのポスターに、後ろ髪を引かれながら、声の方に踵を向け、駆け出した。



夕暮れもとうに過ぎ、オフィス街から、ネオンが光り始めた、繁華街へ。



昼間、親友達と約束をしたランチでは、相手が納得できる答えが出せぬまま、夜へと持ち越されたのだ。


『どんな事を言えば、納得してくれるんだろ……』


私の足は、重くなる一方だ。



< 68 / 265 >

この作品をシェア

pagetop