=凪=
下を向いて歩いていると、あれこれと浮かんでくる。


『あっ、そっか』


まず、浮かんだのは、堅苦しい挨拶文。


『飲み会の席で、お世話になった、名取です。お返事、遅くなりました』


なんか、しっくりいかない。


次は……柳崎先輩のことだった。


『……でもぉ』


ふと、上を向き空を仰いだ。


『やっぱ、……変だよねぇ』


思考が止まった頃に、前の二人が、一軒のお店の前で立ち止まっていた。


危うく、菜津子にぶつかりそうになる。


「ナギ、大丈夫?ここにするよ」


そう言われ、通された席に座り、店員が来て、注文を済ませた。


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