永久色-TOWAIRO-
「……………ある方にお会いになるためです。」
「ある方……?一体、誰?」
「私も申しあげたいのですが、奥様からその方のことを話すなと、言われておりますので。」
そんな……。
高校時代の思い出が全くないなんて───
あの時が一番大事な思い出があった気がする。
「くそっ……。」
頭を抱えても何も思い出せない。
「智也様……顔色が………。」
「変な感じだよ。俺はちゃんと小さい頃の記憶がある。
でも、俺は今、21だ。
なのに、中学時代と高校時代の思い出が全く思い出せない。
お世話になっていたあんたの、名前すら思い出せない。」
「智也様…………。」