ガラスの靴
私が黙ってるのを見て正耶は


「ほらっ……言えないだろ。
俺も同じで言えねぇんだ」


と言った。



ひょっとしてこの男……気づいてるの?



あれが作り笑いだってことを…。



心から笑えないってことに…。



あんたは気づいてるの?


もうすぐ私の家がある道に、辿り着く。


もうすぐ、この不愉快な時間も終わる。



こんな時間、早く終わって欲しい。



早く帰りたい。


早く、この男のもとから消え去りたい。
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