ガラスの靴
でも……私は彼が本当の父でないことを知っている。



でも義父は知らない。

私が本当の娘でないとわかったら義父は、今以上私に暴力をふるってくるだろうか……。


いや…それとも本当は気づいているのだろうか。



「なんだその目は!」



義父が急に怒り出した。


「なんでもありません」



早くこの場から立ち去らなくちゃいけない。


早くしないといけないのに、足がすくんで動けない。



動け……



動け……



早く……



早く……



義父がじりじりと近づいてくる。


義父が近づくたび酒の匂いがきつくなってくる。
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