うちゅうじん。〔 カエル星人お引っ越し大作戦!〕隊長は?





枝の上の会話は続く。


「それでさ、あんた等あの糸切って、あの蛾、下に落とせる?」

「ああ、その位は出来るよ。でも、なぜ…?」

「訳はあとで。さ、行ってきて(笑)」



隊長は、パシリ一号に目配せをして飛び出した。



目にも止まらぬスピードで、切り離され落ちてゆく蛾。
隊長とパシリ一号は、再び枝へ。



「ありがとう、ご苦労だったね。ところでさ、あんた等何者?」

「俺は隊長、コイツはパシリ一号。こう見えても「うちゅうじん」なんだ。あ、山田君はハエなんだけどね(笑)」

「オイラは見た通りの蜘蛛。レンジュラ。フランスってとこで生まれたんだが、どういうわけか何かの荷物に紛れて、どういうわけかここに住み付いて早二年…」

「あの…、その話 長くなります?」





遠くで、ヒステリックなリンの罵声が聞こえる……。
カイが逆襲したらしい。
必死になだめるマッコイの声が、夕暮れ時の空に悲しく溶けていった。






< 160 / 190 >

この作品をシェア

pagetop