ブラッディ アリス
「…だからムダだって…」
大きな瞳をさらに大きく見開くキオネ。
手に持ったはずの拳銃が、一瞬の銃声と共に遠くへと飛んだ。
「おかえり、ラビ」
カイルはニヤリと笑い、扉の方を見つめる。
「!?」
ガクガクと震えながら、キオネはゆっくりとカイルの目線を追う…。
血のように赤い瞳…。
長い銀髪が、窓から差し込む陽の光によってさらに輝きを増す。
手には拳銃、その銃口から煙が上がり…まっすぐ自分へと向けられている。
「…!……うぐっ…?!…かはっ…」
キオネは酷く苦しそうな顔をすると、真っ白な手のひらに真っ赤な血を吐いた。
「毒が回ったみたいだね」
ラビが拳銃を下ろし、にっこりと笑った。