ブラッディ アリス


「…」

司教は目を逸らすと、何かを考え始めた。


「お答えくださいませ。それができないのなら、あなたを聖導界から追放いたします。それくらい私には容易なこと…わかっていらっしゃるでしょう?」

アリスは厳しい眼差しで、シャリオ司教にハッキリと告げる。


「ふ…」

シャリオ司教は一瞬口元に笑みを浮かばせると、目をアリスに向けた。


「あなたは本当に…お強くなられましたね。確かに、前のあなたとは違うようです」

アリスはその言葉に目を細め、足を組みなおす。

「全て答えれば、私は処分を受けなくて済みますか…?…アベル公爵」

「…ええ。…全て答えれば…の話ですけれど」



緊迫した空気が流れる中、窓の外に広がるのは夕陽で朱色に染まった大空。

薄暗くなり始めた室内で、対峙する三人…。




その頃カイルは…ベルアベスタ邸から、キオネの遺体を運び出していた。

まるで等身大の人形のような少女は、沈み行く陽の光に照らされながら…静かに眠っていた…。







< 109 / 657 >

この作品をシェア

pagetop