ブラッディ アリス
「…では…まず…キオネ様が雇われていた七人の執事の話から…」
司教はゆっくりと口を開く。
「5年前…でしょうか。ジャックが現れたのは…。それはあなたもご存知のはずです」
「ええ。存じてますわ」
アリスはまっすぐ司教の瞳を見つめている。
「…それからですね。キオネ様がだんだんと執事の人数を増やされていったのは…」
シャリオ司教の脳裏に甦る、あどけない少女の微笑み。
「司教、私の執事たちをご紹介いたしますわ」
今でもはっきりと覚えている…あの瞬間…。
「キオネ様は執事たちを連れて、よく神殿にいらっしゃいました…。まぁ…ジャックは…シャルル様に就いていたので…あまり顔を見せることはありませんでしたが…」
「……」
アリスは頬杖をつきながら、冷めた表情で司教の話を聞いていた。
頭に浮かぶ、たくさんの言葉を抑え…黙ったまま…。