ブラッディ アリス


「司教のお話、大変参考になりましたわ。感謝いたします。ラビ…行きますわよ!」


鋭い目をした少女が、金髪を靡かせて振り返る。



「はい…」

ラビも早足でアリスの後を着いていく。



「…アリス…!」

とっさにアリスを呼び止めた司教は、さっきまでの冷静な雰囲気ではなく…もとの笑顔で優しい表情に戻っていた。



「…今度…屋敷に行く。…ウィンとリナリア様にもそろそろ会わないと…いけないから…」




アリスは一瞬切ない顔を見せ、微笑んでシャリオ司教に告げる。


「…お待ちしておりますわ…」




そうしてアリスとラビはゆっくりと扉の向こうに姿を消した。





沈みかけた夕陽を背に、神殿は淡い光で包まれていく…。


司教は徐々に灯りの点る部屋の中、一人静かにため息をついた。






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