ブラッディ アリス
Ⅲ
一方その頃…アベル家では…。
「あんっ…やっ…あっ…」
妹に当主の座を奪われ一人の男しか見えなくなった、哀れなナナリがその快楽に身をうずめていた。
「はぁ…はぁ…ラビ…好きなの…んんっ」
「僕もナナリが好きだよ…。だからそろそろ解放してくれないかな?」
ナナリとは正反対に冷静なラビが、自分の体に股がり喘ぐ女の姿を冷めた表情で見上げている。
「いや…渡さない…アリスになんかっ……あんっ」
腰を動かし続けるナナリを、ラビは優しい手付きで撫でる。
「……アリスを殺したい?ナナリ…。アリスがいなくなれば僕は君のものになるよ」
「…ほん…と?」
「ああ。僕が殺してきてあげる。だから行かせてくれないか?」
「…ん…はぁ…あ…」
ナナリは徐々に動くのを止め、ラビの体を離れた。
ラビはさっさとベッドから降り、素早く服を着て部屋を出ようとした。
「ラビ…!!」
ナナリの声にラビは足を止める。
「あ…愛してる…。待ってるわ…」
乱れた髪をかきわけながら、ラビを見つめた。
「…」
ラビは何も言わず頷き、部屋を出て行った。
「ラビが…私のものに……あの子を…殺して……ふふふ…」
ナナリは一人、笑い出す。
ラビが現れてから一番初めに狂ったと言える…可哀想なナナリは、静かにベッドに横になった。