ブラッディ アリス



一方その頃…アベル家では…。

「あんっ…やっ…あっ…」

妹に当主の座を奪われ一人の男しか見えなくなった、哀れなナナリがその快楽に身をうずめていた。

「はぁ…はぁ…ラビ…好きなの…んんっ」

「僕もナナリが好きだよ…。だからそろそろ解放してくれないかな?」

ナナリとは正反対に冷静なラビが、自分の体に股がり喘ぐ女の姿を冷めた表情で見上げている。

「いや…渡さない…アリスになんかっ……あんっ」

腰を動かし続けるナナリを、ラビは優しい手付きで撫でる。

「……アリスを殺したい?ナナリ…。アリスがいなくなれば僕は君のものになるよ」

「…ほん…と?」

「ああ。僕が殺してきてあげる。だから行かせてくれないか?」

「…ん…はぁ…あ…」

ナナリは徐々に動くのを止め、ラビの体を離れた。


ラビはさっさとベッドから降り、素早く服を着て部屋を出ようとした。

「ラビ…!!」

ナナリの声にラビは足を止める。

「あ…愛してる…。待ってるわ…」

乱れた髪をかきわけながら、ラビを見つめた。

「…」

ラビは何も言わず頷き、部屋を出て行った。




「ラビが…私のものに……あの子を…殺して……ふふふ…」

ナナリは一人、笑い出す。


ラビが現れてから一番初めに狂ったと言える…可哀想なナナリは、静かにベッドに横になった。





< 12 / 657 >

この作品をシェア

pagetop