ブラッディ アリス
ヴィルゴ国…ヴァイオリア家。
初代から当主は女性と決まっており、財源として営んでいるのが…世界一の高級エステサロン。
ほとんどの女性貴族はヴァイオリア家のサロンを愛用。
もちろんアリスも会員である。
「ホント…イザベラ様はお美しいですわね。さすがですわ」
アリスは共に会場へ向かうイザベラの横顔を眺めながら言った。
「あら…ありがとう。でも、マリア家の方々には負けるわね。とくにあなたのお母様には」
イザベラはアリスに微笑み返す。
「リナリア様は本当に素晴らしいお方だったわ…。アリスもちゃんと血を受け継いで綺麗に育って…。でも…あの歌唱力を引き継いだのは、ナナリね…」
懐かしむイザベラの言葉に、アリスは小さく頷いた。
「…まだまだ不安でしょうね…あなたたち二人は特に…。アリスもナナリも本当に頑張ってると思うわ。…ゾディアックの女性陣はみんな…あなたたちの味方だから…私たちには何でも言ってちょうだいね」
イザベラの優しい言葉にアリスは普段とは違う…まだ子どもというような笑顔を見せる。
「…ありがとうございますわ」