ブラッディ アリス
イザベラは「クスッ」と笑ってアリスの頭を撫でると、アリスの後ろで何も言わずついて来るラビをじっと見つめた。
「…何か御用ですか?ヴァイオリア公爵様」
ラビはにっこりと笑ってイザベラに問いかける。
「…いいえ。…何でもないわ…」
イザベラもにっこりと笑うと、顔を前に戻した。
「あら!ミカエル!」
直後に現れたのは、レオ国貴族代表ミカエル・シーバ・クランベリだった。
いかにもやんちゃそうな感じのミカエルは、イザベラの声に振り返ると満面の笑みを浮かべた。
「お久しぶりです、イザベラ様。…今宵も麗しいお姿で…」
「…もー…そんな事言ったって何も出ないわよ。…半年ぶりかしら?前回の定例会議にはいなかったものね」
イザベラとミカエル…この二人が揃うと、その場の雰囲気がとても明るくなる。
「…戦争に夢中で会議も出ないなんて…どこまでバカなのかしら…」
アリスは冷めた目でミカエルを見ながら呟いた。
「…聞こえてるぞ…アリス。お前は相変わらず態度がでかいよな。…こないだの電話だって酷かったし…」