ブラッディ アリス
Ⅲ
…ポーン…。
「…落ち着け…アリス」
エレベーターに乗った瞬間、ラビは呆れたような顔をしてアリスを宥めた。
「…十分落ち着いてますわ…」
明らかに不機嫌そうなアリスは、ラビの目を見ようとしない。
「…感情的になるな…」
「なってませんわ」
「……」
「ふぅ…」
ラビはアリスに聞こえるようにため息をつくと、ガラス張りのエレベーターからアルデバランの夜景を眺めた。
そんなラビをさりげなく伺うアリス…。
どこから来たのかも…何者かもわからない一匹の兎を、少女は疑いの眼差しで見つめる。
そう…ずっとそう見つめ続けてきた…。
気にしていないフリをしては、不審を抱く視線を向けて…。