ブラッディ アリス
…ポーン…。
5階にたどり着いたエレベーターは、静かに扉を開かせた。
すぐに目に付いたのは、とても大きなシャンデリア…。
その下に立つ二人の貴族が、エレベーターを降りたアリスとラビを見る。
「…これはこれは…アリス・アベル公爵殿…お待ちしておりましたよ」
不適な笑みを浮かべ、アリスに近づいてきたのは…カプリコルン国貴族代表…アンディビッヒ・ド・スティルバロ。
口髭を生やし、いかにも意地悪そうな顔をしている彼は、ゾディアックの中で最もアリスのことを認めていない人物だった。
「今宵も…ご機嫌麗しく存じますわ…。アンディビッヒ様…」
アリスは嫌々ながらも必死で笑顔をつくり、アンディビッヒに応える。
「この度は大変でしたね。アリス」
続いてアンディビッヒと一緒にいた若い男性が、アリスに近づいてきた。
「…誠に恐縮ですわ…。ウィッシュ様…。私の管理不行き届きで…」
「……文書には目を通しました。正直…今回の件は…あなただけの問題では無いと言えます。…そんなに気に病まないでください」
彼の名は、ウィッシュ・メルラッテ・アダム…。
この貴族界を代々総括する、リブラ国貴族代表アダム家の当主である。