ブラッディ アリス
「僕の可愛いアリスを殺すはずないだろ…」
そう呟きながら、ラビは早足で屋敷を出る。
「たぶん…ハルザンヌかな…」
ラビは門の前に停めてあった赤いオープンカーに勢いよく飛び乗り、車を発進させた。
運転をしながらラビはケータイからアリスに電話をかける。
「…ちっ」
アリスはどうやらケータイの電源を切ってしまっているようだ。
ラビは裏道を通り、急いでハルザンヌに向かう。
そして今度はアリスではない人物に電話をかけた。
「僕の姫がそっちにいるはずだ。確認しろ」
この意味深な一言…。
ラビは一体誰に電話をかけたのか…。
そんなことを知るはずもないアリスは、すでにベルアベスタ邸に招かれていた。
「…お…お久しぶりです…ベルアベスタ侯爵…」
アリスは屋敷に入るなり唖然とした。
仮にも明日、自分の妻が公開処刑されるという立場の人間なのか…。
ベルアベスタ家当主…ガガゼル・ベリシュ・ベルアベスタ侯爵は、優雅にお茶を飲んでいるところだった。
「アリス・アベルじゃないか!!久しぶりだな」
「お元気そうですわね…侯爵…」
ベルアベスタ侯爵は駆け寄ってくるなりアリスを抱きしめた。