ブラッディ アリス
Ⅴ
「それでは皆様、お待たせいたしました」
午後7時ジャスト…アダム家当主ウィッシュが席を立つ。
それを合図にメンバー全員もそれぞれ会話するのを止め、席を立ち、ウィッシュを見つめる。
「これより、ゾディアック春期会合を始めたいと思います…。とは言っても、本日は晩餐会なので…まずはゆっくりと旅の疲れを癒し、明日の本会議に備えてください。ホテルには様々な娯楽施設も用意されているみたいですから…食事の後は各自ご自由になさって結構です」
ウィッシュは一人一人の顔を順番に見つめた後、レウムに笑顔を向けた。
「今回の開催地をご提供してくださったセト公爵には、誠に感謝しております」
「お安い御用だ。いつでもお声をかけてくだされ。アダム公爵」
ウィッシュの言葉に優しい顔で返すレウム。
「本日は全員お揃いで…本当に良かったですね。アダム公爵」
ミカエルに対し皮肉を言い、鼻で笑うソーディルはさっさと席に座る。
「…っ」
そんなソーディルを悔しそうに見下ろすミカエル。
会場には笑いが溢れ、ソーディルに続き皆次々と席に着いた。