ブラッディ アリス
テーブルには豪勢な食事が次々と並べられ、新たに用意されたグラスには高級なワインが注がれていく。
各当主に就いている執事たちは、主人の席の少し後ろで待機。
部屋の隅では、ホテルの従業員が慌ただしく動いていた。
「あ、ありがとうございますわ」
アリスの隣では、さっそくレウムと席を換わったルナリアが座る。
「…少しは落ち着いたかしら?アリス」
ルナリアは優しい笑みを浮かべ、ワイングラスに口をつけるアリスに尋ねた。
「…え…?」
アリスは不思議そうな顔をしてルナリアを見つめる。
「見てればわかりますわ。ずっと緊張しているんだもの…」
ルナリアはクスッと笑うと、軽くワイングラスを揺らし、香りを嗅ぐ。
そんなルナリアを見つめながら、アリスは切なくため息をついた。
「…ルナリア伯母様…。母様は…何かおっしゃってますの?」
「…え?今?」
アリスの問いを聞き、ルナリアはアリスの背後をじっと見つめる。
「…『堂々となさい、アリス。あなたらしくないわ』…」
「………」
ルナリアが代弁した母の言葉を聞き、さらに切ない顔を見せるアリス。