ブラッディ アリス




「隣の個室使いたいの。鍵を開けてもらえる?…あと、二人分の食事を持ってきてちょうだい」

イザベラは会場の外で待機していた従業員にそう伝えると、俯くアリスの顔を無理やり上げた。

「…アイラインとシャドウ…それからチーク…。あとは良さそうね」

すでに涙の止まったアリスの目元は、化粧が落ちて黒く滲んでいる…。



従業員たちは個室の鍵を開け、中に料理を運ぶ。

「悪いわね」

全て揃った後、イザベラは従業員に笑顔で礼を言った。


「さて…」

部屋に入ると、イザベラはアミに目で合図をする。

それを確認したアミは、個室に用意されてあった化粧台の上にメイク道具を並べ始めた。

「先に食べちゃいなさい。リップも直してあげるから」

イザベラはにっこり笑うとアリスを椅子に座らせた。


「ありがとう…ございますわ…」

アリスは暗い表情で、目の前に並べられた料理を眺める。

「…アリス様…」

心配そうにアリスを見つめるラビ…。

「ラビット…食事とメイクが終わったら、二人でホテル内のカジノにでも行ってらっしゃい。みんなには上手く言っておくから」

イザベラはラビにそう言うと、自分も席に座り、料理を食べ始めた。




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