ブラッディ アリス
「イザベラ様…」
少し驚いたようにイザベラを見つめるアリス。
「…今夜は遊んで、明日までに元気になっておくこと!…いいわね?」
イザベラはアリスに優しく微笑む。
「…はい」
アリスも笑顔で答えると、ゆっくりと料理に手をつけた。
イザベラはアリスに何も聞くことなく、その場は他愛のない話で盛り上がった。
食事が終わると、イザベラは化粧台の前にアリスを座らせる。
そして慣れた手つきでメイクを施す。
「さすが…ですわ…」
ものの15分くらいでメイクは完了。
「当然よ。ヴァイオリア家当主ですからね」
鏡に映るイザベラは満足そうに笑った。
「…」
そんな普段とは違うアリスを、ラビは静かに見つめていた…。
その脳裏に浮かぶのは、ルナリアと会話していたときのアリスの様子。
あのとき…ルナリアは何を言ったのか…。
滅多に泣くことのないアリスが、あのゾディアックの面前で流した涙…。
「マリア家…か」
ラビは一瞬不適な笑みを浮かべ、小さく呟いた。