ブラッディ アリス


「イザベラ様…」
少し驚いたようにイザベラを見つめるアリス。

「…今夜は遊んで、明日までに元気になっておくこと!…いいわね?」
イザベラはアリスに優しく微笑む。

「…はい」

アリスも笑顔で答えると、ゆっくりと料理に手をつけた。


イザベラはアリスに何も聞くことなく、その場は他愛のない話で盛り上がった。

食事が終わると、イザベラは化粧台の前にアリスを座らせる。
そして慣れた手つきでメイクを施す。

「さすが…ですわ…」

ものの15分くらいでメイクは完了。

「当然よ。ヴァイオリア家当主ですからね」

鏡に映るイザベラは満足そうに笑った。


「…」

そんな普段とは違うアリスを、ラビは静かに見つめていた…。


その脳裏に浮かぶのは、ルナリアと会話していたときのアリスの様子。



あのとき…ルナリアは何を言ったのか…。


滅多に泣くことのないアリスが、あのゾディアックの面前で流した涙…。



「マリア家…か」

ラビは一瞬不適な笑みを浮かべ、小さく呟いた。




< 144 / 657 >

この作品をシェア

pagetop