ブラッディ アリス
Ⅶ
「さて…カジノなんて久しぶりですわね…」
普段の雰囲気に戻ったアリスは、堂々とした態度でラビの横についた。
エレベーターを降りてすぐに立ちはだかる、大きな扉。
そこから漏れる、賑やかな歓声…。
扉の横に立つ従業員はにっこりと微笑むと、その扉を静かに開いた。
シャラン…。
金色の豪華な服を着た女性が、ちょうどアリスの目の前を通る。
「あはははは」
室内の所々で湧き上がる笑い…。
タウルス国主要都市アルデバランで一番のホテル…。
もちろんそこに宿泊するのは、ほとんどが貴族である。
「見たことある顔が、大勢いますわ」
アリスは眩しく華やかに飾られた室内の全貌を見渡すと、ニヤリと笑った。