ブラッディ アリス

「驚いたな…。まぁアベル家はもともと王族との交友関係は築いていたみたいだが…。まさかここまで仲が良いとは…」

「お陰様で、ごひいきにしていただいてますわ」

ベルアベスタ侯爵は渋々とあご髭をなぞりながら、アリスとカイルを交互に見る。

「…ふぅむ…。アベル家はやはり…王族が背についているからか、貴族界でも何かと力が強い…」

アリスとカイルはその一言を聞き逃さなかった。

「おっと…失礼。今の発言は気にしないでくだされ」

そう言ってベルアベスタ侯爵は笑って誤魔化したが、アリスとカイルの中ではさらに侯爵への疑惑が増した。


その後、メイドがお茶を運んできたのをきっかけに、茶や菓子の話でしばらく盛り上がった。

そして一人娘のキオネが現れたことで、空気が変わった…。

「お久しぶりですわ!アリス!」

侯爵と同様…明日のことなど気にもしてないというようなキオネは、椅子に座るアリスの背後から抱きつく。

「キオネ…久しぶりね」

少し引きぎみなアリスは自分に絡むキオネの腕をゆっくり離す。

「こちらの…方は…?」

キオネはカイルを見るなり目を丸くした。

「初めまして、ミス・キオネ。アリエス国王家第四王子カイルと申します。どうぞよろしく…」





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