ブラッディ アリス


「ファンクラブなんて…あるんですね…」
会員証を見つめながら、唖然とするラビ。

「さ…さすが…ギャンブラーのミス・サラン…。崇めるのは、あのクラウドってわけね…」
苦笑いをしながら、言葉を返すアリス。

「もし…今夜こちらに彼が見えられたら、ぜひ呼んでくださいませね」
ミス・サランは少し照れたようにそう言うと、笑顔で手を振り、人ごみに消えていった。



「……と、いうわけで…、もしクラウド様に勝てたら…ラビは一気に有名人よ」

「…それは、困るな…」


二人は顔を見合わせ、ニヤリと笑う。


「ラビも私と同じ…負けず嫌いだもの…。…期待してるわ」


アリスは微笑みながら金髪を靡かせ、ゆっくりとテーブルの前まで行くと、ディーラーの真正面に腰掛けた。

その場にそぐわない少女の登場を、少し驚いた表情で見つめる観衆。


「…あの方は…」

「あ…!先日新聞で見たばかりだわ…!」


テーブルの周りの人々が、徐々にざわめき始める。



「アリス…。君のそばにいるだけで僕は、もう有名人だよ」



ラビは静かに観衆の間を潜り、堂々とアリスの席の後ろについた。







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