ブラッディ アリス
案の定、カイルの目は光る。
さりげなくキオネの手をとり、手の甲に口づけをした。
「…は…初めまして…。キオネ・ブランシュ・ネージュ・ベルアベスタです。お目にかかれて…光栄ですわ…」
もうカイルに落ちたか?と思えるほど、キオネの顔は赤くなっている。
カイルとキオネは端から見れば「いい感じ」と言えるような雰囲気。
それを面白そうに眺めていたアリスは…カイルに対する何か殺意的なものに気づき、視線の先を変えた。
ベルアベスタ侯爵がじっとカイルを見つめながら、無表情に…物凄い怒りの空気を漂わせている。
「…どうかなさいましたの?侯爵」
アリスは何かを悟ったように微笑みながら侯爵に尋ねた。
「い…いやいや……なにも…」
明らかに隠そうとする侯爵のあわてぶりは、アリスにとって核心をつくものだった。
それに気づかないカイルとキオネは楽しそうに会話を弾ませる。
「今日はいかがなされましたの?とくにパーティーがあるわけでもありませんのに…」
「明日の処刑を見学にきたんだ」
そのカイルの一言に、楽しそうな雰囲気は一気に凍りついた。