ブラッディ アリス
「…それは……」
期待するようにミカエルの答えを待つカルサ。
「………知らねぇ…。でも…なんか…それが当然って感じで…。…たぶん…誰も知らないんじゃないか?」
「…そっか…」
少しガッカリしたようにカルサはミカエルから目を離す。
ミカエルも急に不思議に思ったのか、どうしてアリスが当主なのかを考え始めた。
「………」
しばらくして、二人の元に戻ってきたアリス。
「何…二人で難しい顔してるの?…部屋、とれましたわよ」
「あ…うん…。ありがとう」
少し不安そうな表情を浮かべるアリスに、カルサはにっこりと微笑み返す。
「…もうすぐ11時か…。早めに戻ろうな。きっとみんな心配してる」
ミカエルは場内にある大きな時計を確認すると、じーっとアリスを見つめた。
「…なによ?…わかってるわよ?…早く戻らなきゃ…ってことくらい…」
自分を凝視するミカエルに、アリスは若干引き気味に応える。
「……お前……」
「…?」
「…お前が口を挟むとカルサの話が終わらないだろうからな…。黙ってろよ」
ミカエルはそう言うと、さっさとVIPルームのある方へ歩き出した。
「はぁ?…なんなのよ…あいつ…。まぁ…いいわ…。行きましょう、カルサ」
アリスは不機嫌そうな顔をして、ミカエルの後をついていく。
そんな二人を見つめながら、カルサは一人…静かに拳を握っていた。