ブラッディ アリス
「…」
黙りこむキオネ…。
微かに笑みを浮かべるカイル。
アリスは様子を伺いながら口を開く。
「…やはり…ベルアベスタ家と交流を深めてきた我がアベル家としては立ち合うべきだと思いましたの…。カイル王子は王家の代表として明日の処刑を…」
その言葉を聞いたベルアベスタ侯爵は、ゆっくりとその場に立ち上がった。
「…そうだと思ったよ…アリス。ニュースにもなっとるしな…」
ベルアベスタ侯爵はそう言った後、席を離れて行った。
「…明日のことは…父様も私も考えないようにしてましたのよ…。いくらなんでも母様が公開処刑なんて……っ」
キオネはそう言うと涙を流した。
「……ごめん…ミス・キオネ…」
カイルはキオネを抱きしめる。
「ごめんなさい…キオネ…。侯爵もあなたも…無理をなさってらしたのね…」
そう言ってアリスはキオネの頭を優しく撫でる。
カイルの胸に顔をうずめたキオネは知らない…。
二人が楽しそうな顔をして、自分を慰めていることを…。